ワンランク上の家族葬
アメリカのなかには、防衛ただ乗り論的気持ちが非常に強くて、その日本が、戦争寵力を強める努力を怠り、アメリカに委ねて、強引にひたすら技術開発、産業育成に力を入れる。
なけなしの金の多くを、防衛産業の育成に使う議会は受けとります」円が揺さぶる日米安保は、私はアンフェアだと思います。
いままでアメリカの防衛政策はペンタゴン主導で、経済というものを全く等閑視して、安全保障という錦の御旗で今日までやってきた。
経済と防衛のバランスをとってアプローチしてほしい、これまでの私の努力はそこに向けられていたのです」なけなしの金を、防衛育成に使うのはアンフェアだという、カ−ンズの真意がこもっているように思えたが、そのことは詮索せず、八九年初頭に議会を中心に爆発したSX共同開発阻止運動の舞台裏の事情カ−ンズが具体的に果たした役割について質した。
「返事をするのにやぶさかではないけれど、どうしてそんな質問が重要なのですか」カ−ンズは、いささか惚狭山とした顔で問い返した。
そこで、日米両政府の責任者が正式に調印した取り決めをひっくり返すというのは、尋常事ではなく、それをあえてやろうとしたのはよほどの理由、事情があったはずで、何かをつかみ、SX共同開発阻止の空気が予想外に盛り上がっていく背景が知りたいのだと説明した。
「共同開発に危倶の念を抱いた五人の上院議員のスタッから、しょっちゅう問い合わせが私の所に来ていました。
ブッシュ大統領宛ての書簡を書いたのは、じつは私です。
五人の議員のスタッの合議を経ていて、最終稿をみせて承認を得ています。
要するに大勢の人の共同作業です。
もちろん最終的に判断し行動したのは議員たちですが」安全保障の問題で、政府間で正式に調印した取り決めをひっくり返すのは、どう考えても異常だ。
そのことをカ−ンズにぶつけた。
「その通り。
議会が武器輸出の問題について国防総省が決めたことを拒否したのは、前代未聞で、議会のこの強硬な態度は、アラブへの武器売却に反対して以来のことです。
国家安会諜瞳迭議も国務省もベンタゴンも、みな一貫して共同開発賛成の立場をとっていたので、この議会の強硬姿勢には仰天したのです」それにしても、なぜ、そんなことが可能だったのか。
行政府に「再調査」を約束させる戦術上のポイントは何だったのか。
折から、八九年二月は、ブッシュ新政権の国防長官人事が、就任予定のタワー(上院議息の酒と女のスキャンダルで議会の承認を得られず。
次官以下の首脳部の人事も決まらない。
その空白を突いたのか。
「その指摘は正しい面もある。
昼間一月に重要な出来事が起きています。
一月末の大統領就任式を待たずに、ベーカー(前財務長官)に早く国務長官の仕事をさせたい、ついては公聴会を聞いてほしい、という案件が大統領になるはずの人物から議会に来たのです。
そこで二日間の公聴会となった。
二日日の午後、彼が国務長官として承認されるかどうかの直前の質問をヘルムズ上院議員がすることになったロ私はヘルムズに、質問状を書いてアドバイスしたのです。
『新政権の閣僚としてSXを見直すつもりがあるや否や』と。
少数与党の共和党、ヘルムズは外交委員長です。
彼の力なくしては、続く一連の国務省人事、大使クラスの人事も進まない。
ベーカーは鴛き、考え、慎重になったわけです。
この翌週、例の五人の上院議員のうち一人が反対の決議案をだし、一月三十一日の大統領への五人の書簡へと進む」カ−ンズの狙いは、何と日本を自主生産路線に戻すことだったという。
共同開発潰しに成功すれば、日本は自主開発に踏み切るだろう。
技術とコストの相聞から満足のできる戦闘機の生産は難しいことが明らかになって、結局はアメリカのMを買うことに仮にペンタゴンの人事が順調に進んでも結果は同なるだろうこれが彼の読みであり、戦略だったということだ。
カ−ンズは、「まだ充分とはいえないが、ベンタゴンがこれからは経済的側面も重視して考える、商務省も自分の問題として真剣に考える。
その意味ではSX問題があらためて、当時の上院議員、マコウスキーやダンォースたちの主張を読むと、例外なくアメリカの軍需産業を守れ、アメリカからの技術移転で日本の航空産業を肥らせるな、経済的損失に寛大になるべきでないと訴え、一方では、安会保障にからむ問題を国防総省の専管事項にしておくのは不当で、商務省やUSRを参入させるべきだと求めている。
防衛上の重大機密がもれるなどの理由での反対は皆無だ。
て、商務省、USTRなどの役人、さまざまにかかわりのある議員たちが安全保障という聖域を壊した。
タワーのスキャンダルの間隙を突いて、宏保の聖域に経済官庁がどんどん踏み込み、採摘した。
というより、これまでは、当然防衛の視点に立って防衛問題を考えて来たのが、経済、塞宋の視点から防衛を見るようになってしまった。
重大な変化です」防衛庁の制服組幹部は苦々しげにいい、「防衛が、安保が、経済のオモチャにされた」問が絡さぶる日米安保と吐き捨てた。
たしかに、国防総省との権限争いの末、昨年三月十日には商務省が、それまでは国防総省だけが握っていた高度防衛技術を供与するにあたっての決定権を得ている。
だか、SX事件がもたらしたのは、防衛を経済の視点から見るようになっただけではない。
O磯正美(野村総研)が指摘したように、日米両政府の正式取り決めが二転、三転、しかもひっくり返ることを、アメリカも、日本も異常事だと感じなくなってしまった。
日本間題が内政化した意味は小さくない。
それに、SX事件は、当然ながら反日的空気を膨張させ、しかも防衛が聖域でなくなったことで、議員たちにとって日本批判は一段と容易になった。
そこで東欧の雪崩のような民主化現象がおき、米ソ関係が対立から協調に大きく変わり始めたのだ。
「はっきり言って、日米関係はたいへんむずかしくなってきたと思います。
米ソ対立の時代には、アメリカにとって対ソ戦略上、日本は絶対に必要な同盟国であり、日米安保は、日本にとってと同様に、いやそれ以上にアメリカにとって必要でした。
その意味で、日米関係の敵、ソ連に対する日米安保はなによりも確かな両国の幹だった。
冷戦が終わると、アメリカにとって日本の必要性、日米安保の重要性が残念ながらうすらぎこう諾ったのは、ジョージ・パッカードだ。
構造協議の下打合せのために、ワシントンを何度も往複して、時差ポケが治るときには、飛行機のなかにいるとぼやいていた官接のひとりも「去年の秋ころから、実渉しながら、糸が切れたような孤独感をひしひしと感じ始めた。
お呼びじゃないというか、アメリカにとって日本が面倒な存在でしかなくなったなと実感せざるを得なくなった」と、述懐していた。
防衛庁の制服幹部は、「安保がオモチャにされた」と憤慨したが、米ソ対立時代の終罵で、この言葉が俄然、重い現実味歩帯びてきたわけだ。
安保条約の危機だが先走るのは慎もう。
SX事件を契機に、アメカリにとって、日本が内政化した。
貿易赤字問題はどこかへ吹き飛んで、リヴィジョニストたちの主張ド沿った日本改造論がにわかに燃えさかったのだ。
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